2017年2月20日月曜日

多木化学は買いか  肥料・建材・石油・不動産編



多木化学(4025)は、国内で初めて人造肥料を開発した化学メーカーで、現在は肥料のほか、化学品、建材、不動産などの事業を手がけている同族企業です。
簡単な業績推移は、IRページに掲載されています。
規模としては、売上324億円、営業利益16億円、純利益10億円、フリーキャッシュフロー9億円です。


■ 2016年度決算

2月13日発表の2016年度決算(12月決算)では、対前年度比で、
 売   上 △3.5%
 営業利益 △15.1%
 経常利益 △15.6%
 純利益   △20.7%
という散々な有様でした。



■ セグメント別利益

セグメント別の利益割合を見ると、概算で
 肥料   16%
 化学品 36%
 その他 48%
となっています。



■ 肥料事業

全社売上324億円中、90億円(約28%)を占めるアグリ事業では、有機複合肥料や土壌改良材などを扱っており、水稲、園芸、野菜、果樹向けの「しき島」などを主力製品としています。

ちなみに矢野経済研究所の調査報告では、「2014年度の国内の肥料市場規模は前年度比87.1%の3,912億5,400万円」だったそうです。今はもっと市場が縮小しているとして、シェアは約2~3%程度でしょうか。
業界団体のHPで生産量などの統計が確認できます。
また、JAのこのページでは、「国内主要肥料メーカーの売上高(平成25年度)」という表が載っていますが、多木化学は決して、価格決定力を持つほどのシェアはないようです。


肥料事業は、次のようなネガティブな要素を持っています。
 ・農家の減少などで肥料の国内販売の拡大がほとんど見込めない。
 ・原料をほとんど輸入に頼っているため、為替変動の影響を受けやすい。円安に弱い。
 ・国内の肥料は、諸外国に比べて非常に割高で、海外進出の可能性が限られている。

以上のことから、私は肥料事業に明るい未来を描けません。



■ 建材・石油・不動産事業

建材事業では石こうボードなどの販売、石油事業ではGSの経営、不動産事業では兵庫県加古川市の本社周辺で保有している土地で、イトーヨーカ堂などのショッピングセンターの運営などを行っています。
2016年の決算では前年度比で、売上は不動産事業では0.9%減、建材事業は3.1%減、石油事業は25.7%減、運輸事業でも16.7%の減でした。
これらの事業にも、成長の兆しはありません。



■ 来期の見通し

今期(2017年度)が最終年度となる3ヵ年経営計画は、達成できない見通し。
会社は一応前期(2016年度)に比べれば、業績は回復すると見込んでいるようですが、実現できるかは怪しいです。






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