2022年4月1日金曜日

VIXショートできる証券会社6社を比較

 「先物取引に係る雑所得(申告分離課税)」の約550万円の非課税枠(と書くとかっこいいが、実際は単なる損失繰越)があるものの、GMOクリック証券で思うようにVIXショートが出来ないため、日本国内居住者がVIX先物やETP(ETF・ETN)を取引できる証券会社等を調べてみました。
VIX取引で問題になるのは、欲と恐怖心なので、ついでにシステムトレードできるかも調べました。
結果的には、VIXショートをCFDかつ自動売買で取引できる証券会社はありませんでした。

一覧
・GMOクリック証券
・Interactive Brokers証券(IB証券)
・IG証券
・サクソバンク証券
・LINE証券(LINE CFD)
・インヴァスト証券
・その他国内証券会社
・海外FX会社

【GMOクリック証券】

GMOグループの証券会社。
スプレッドが狭く、為替手数料もないため、国内証券会社の中では手数料が安い。

(取り扱い銘柄)
VIX先物のCFD1銘柄(米国VI)とETFのCFD2銘柄(UVXYとSVXY)

(新規売規制)
VIX先物のCFDは、コロナショック時の2020年2月24日以来、売り禁になっておりショート出来ない。
ETFのCFD2銘柄のうち、米国VIブルETF(UVXY)はVIXが上昇すると、すぐに新規売規制が掛かかり、さらに建玉上限があるため、ショートしたい時に出来ない。

(自動売買)
不可。

(評価)
年々、取引規制が増えていく。売り禁と建玉上限がきつく、大儲けも大損も出来なくなっている。


【インタラクティブ・ブローカーズ証券(IB証券)】

おそらく世界最高の品揃えの米国の証券会社。手数料格安。NASDAQ上場企業で、証券会社としての信頼性も高い。
2021年7月から月10ドルの口座維持手数料が廃止された。

(取り扱い銘柄)
あらゆるVIX関連の先物・ETF・ETN・オプションの取引が可能

(新規売規制)
room5110の2015年の情報によると、「急騰後の下げのはじまりでは(中略)かなりの確率で空売り禁止措置が取られますが(中略)長くて数日程度です。」とのこと。
また、米国には逆日歩制度がない。

(自動売買)
TWS経由でAPI接続可能なので、本格的なシステムトレードが可能。(公式サイト
日本人でAPI接続している人もちらほらいるため、日本語情報も意外に豊富。
リアルタイム・マーケットデータは有料。
Tickblaze のようなサードパーティのサービスを利用してAPI接続することも可能で、この  Tickblaze からVIX先物データのTickデータを取れないかと思い無料版をダウンロードしましたが、よく読んだら、VIX先物のヒストリカルデータは別途 DTN IQFeed からインポートしろと書いてあった
 DTN IQFeed の無料トライアルユーザーのヒストリカルデータのダウンロードは、4営業日分に制限されているそうなので、本格的にVIX先物のデータを取り込むには、125ドルくらい必要そうです。

(税制)
海外口座のため、翌年以降への損失繰越不可。
海外損と国内利益は通算不可、という解説と、単年なら海外損益と国内損益の通算可能という解説がある。どちらが正しいか不明。
海外先物は総合課税の雑所得となるため、国内CFDとの通算不可。

(評価)
今あるCFDの損失とIB証券での利益を相殺できないので、当面は口座開設予定なし。

【2022年12月 追記】
現在、日本国内居住者は国内口座しか口座開設できなくなったようです。

【IG証券】

ロンドン証券取引所に上場しているIGグループ傘下の証券会社。取引毎に為替手数料が0.5%掛かる。VIX先物CFDのスプレッドは、GMOクリック証券の3~4倍。高い。
半年以上放置してると口座維持手数料が掛かる場合がある。

(取り扱い銘柄)
VIX先物のCFD 4銘柄(S&P500/EU、期限あり/なし)、ETF・ETNのCFD 8銘柄(公式サイト
期限なし先物のCFDは、日をまたぐとファウンディングコスト(ロールオーバーコスト+金利 2.5%)が掛かる。
1ロット1日数万円になることもあるそうな。

(新規売規制)
見たところ、ETF・ETNのCFDは1銘柄以外 空売り規制中(Unborrowable)になっている。
買いも長期間規制されることもあるみたい。
先物CFDはコロナショックでも売り禁にならなかったとのこと。

(自動売買)
ProRealTimeチャートというフランスの会社のチャートツールと提携しており、それに自動取引システム ProOrder が搭載されている。

月4,000円の料金が発生する。月間4回以上の取引を行った場合は無料。
PCの電源を入れていなくてもサーバーで取引される。
ストラテジー(自動売買ルール)の作成方法は「作成アシストツールを使用する」もしくは「すべて自作でプログラミングする」の2通りある。
どちらもバックテストと自動取引が出来るが、パラメータはテクニカル指標しかない。

自作の場合は、ProBuilder というBASICに似たプログラミング言語で作ることになるが、日本で使っている人が見当たらず、日本語情報は、いまいちなマニュアルくらいしかない。

やりたいことは、先物プレミアム/ディスカウントなどをトリガーとしたアルゴリズム・トレードなので、VIX先物とVIX指数の2つの値が必要だが、ライブラリ英語の掲示板を確認しても、VIX指数のインジケーターがない(=VIX指数の値を引っ張ってこれない)ため、先物プレミアム/ディスカウントの判定は不可能。

上の掲示板に VIX という単語は出てくるのは Williams VIX Fix という別物で、FXや仮想通貨などの他の金融商品でもボラティリティを数値化できるようにラリー・ウィリアムズ氏が開発したもの。

(評価)
ProRealTime の ProOrder でVIX指数の値が取れて、スプレッドも狭ければ、自動売買してみたかったけど、それが出来ないし、手数料が高い。
CFDとしてVIXショートをしたければ、IG証券かLINE証券の実質二択だが、手数料を考えると、LINE証券がいい。

【2022年12月 追記】
VIX先物のCFDは、廃止されました。

【サクソバンク証券】

デンマークのオンライン銀行傘下の証券会社。為替手数料あり。
スプレッドは狭いが、売買手数料が最低10ドルで高いため、ロットを大きくしないと損。
逆に大きく取引する場合は、GMOクリック証券やIG証券よりも安くなる。
20日間無料のデモ口座がある。

(取り扱い銘柄)
ETF・ETNのCFD7銘柄。
VIX先物はCFDではなく、先物としてある。(取引説明書 P30)

(新規売規制)
CFDについては、よくある質問を読むと、4ヶ月前時点で「現時点ではすべてレバレッジ及び空売りが提供できません。」とあり、ショート出来ないみたい。今もそうなのかは知らぬ。

(自動売買)
個人でもOpenAPIで接続可能なので、自分でプログラムを組んで自動取引が可能。(要問合せ
最低月間合計手数料なし

(税制)
CFDは申告分離課税だが、先物は海外先物取引として、総合課税(雑所得)となり、利益とCFDの損失繰越が通算できず、翌年以降への損失繰越も認められない。たぶん。

(評価)
VIX先物の自動売買が可能ではあるが、CFDの損失の穴埋めにはならないので、当面は口座開設する気なし。サクソバンク証券に口座開設するくらいなら、手数料が安いIB証券でいいような気がする。


【LINE証券(LINE CFD)】

2022年1月下旬から「LINE CFD(いちかぶチャレンジコース)」が始まった。
LINE証券は LINE 51%、野村證券 49%という悪の枢軸の合弁企業。
CFDの手数料はスプレッドのみ。

(取り扱い銘柄)
VIX指数先物の第1限月を「米国VI」としてCFD取引可能。自動でロールオーバーされないため、期日まで持っていると強制決済される。
口座開設しないと、Bidしか見れないので、今のスプレッドは不明。ただし、Twitterのスクリーンショットを見ると、GMOクリック証券よりは広く、IG証券よりは狭い。

(新規売規制)
LINE CFD 取引停止/強制決済日 一覧を見ると、今のところ、売り禁になったことはない。今後はどうなるか。
建玉上限も十分。

(自動売買)
不可。

(評価)
いいかもしれない。ただし、VIX暴騰で全損するような人がある程度でた場合は、規制が入りそうな予感。
LINEは楽天の次に嫌いな企業なので迷う。
今後1年間くらいは世界経済の雲行きが怪しいので、VIX先物が暴騰してから、口座開設するくらいの方が大損せずに済んでいいのかもしれない。


【インヴァスト証券】

親会社が東証JASDAQに上場。

(取り扱い銘柄)
ETNのCFD1銘柄(VXX)

(新規売規制)
公式サイトの「取引に関する注意点」に「S&P500 恐怖指数連動 ETN(ティッカー:VXX)では、新規の売り注文はできません。」とあるため、ショート不可。

(自動売買)
「トライオートETF」というサービスで単純な自動売買が出来るが、初心者向きで自由度は全くない。

(評価)
使えない。


【その他国内証券会社】

国内証券会社で、東証に上場している「国際のETF VIX短期先物指数 (1552)」を空売り(売り建て)することが出来るが、その際、超高額なコスト(逆日歩)が掛かる可能性が高いので、VIXショートをするには向かない。


【海外FX会社】

海外FX業者はうさんくさく、信託保全もないので、お金を預ける気になれない。海外FXは税金も総合課税になる。
追証がないことが唯一の利点か。
他にも TitanFX と FXGT の2社がある。

・HFM(旧HotForex)(VIX先物のCFDを取引可能)
MT4/MT5に対応しているので、自動取引可能。

iFOREX(VIX先物のCFDを取引可能)
海外FX業者のほとんどは、MT4/MT5に対応しているのに、この業者は対応していないし、API接続も不可なので手動のみ。

◎参考

確認した時点のVIX先物CFDのスプレッド(AskとBidの差。実質的な手数料)
サクソバンク証券は不明。

・GMOクリック証券(米国VI)
0.05~0.06

・LINE CFD(米国VI)
0.08~0.1

・IG証券(ボラティリティー指数)
 期限なし 0.16
 期限あり 0.20