2018年7月7日土曜日

世界的な水道事業の再公営化の流れ


日本では、水道事業の民間委託の流れが進んでいて、不可逆的のようにも見えますが、世界的には案外そうでもありません。どちらかというと、再公営化の流れがあるようです。

例えば、フランス パリ市では1985年からヴェオリア社とスエズ社という水メジャー2社に、2009年末までの25年間の委託契約をしていましたが、契約は更新されず、パリ市に再公営化されました。
原因は、2社がコスト上昇につながる設備投資などを怠ったことなどにあるそうです。

ドイツ ベルリンでも同様の再公営化がおき、イギリス ウェールズではNGOが米国資本の水道会社を買い戻しています。

今日本では短期的なコスト削減効果が、民営化を推進する最大の理由となっていますが、行政直営よりも民間が事業を行う方がコストが下がる理由は、人件費が下がることによるものです。
民営化や民間委託によって、非正規労働者と低所得者が増え、雇用の質が下がることで、結果的にその地方の社会保障費が増大する結果になるという指摘もあります。
また、民間委託を拡大すると、行政側の監理のコストもかかります。

役所の公共サービスは無駄や非効率である一方、民間は競争原理に晒され、常に創意工夫をし、無駄の排除や効率化に取り組んでいると考えられていますが、本当にそうなのかは多少疑問があります。

そのため、民営化・民間委託の拡大が成功と見なされるには、コストが下がるだけでなく、サービスの質が向上しないといけないので、メタウォーターや水ing、ヴェオリアには、そういう点も期待したいです。

日本の民営化(官民連携)の流れが続くのか注意深く見守っていき、雲行きが怪しくなったら、メタウォーター(9551)は、手放そうと思います。